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女性性感染症

性感染症とは

性感染症(性病)は、性行為などによって感染する病気のことです。
性感染症は、無症状であることも少なくないため、無治療のまま放置されることで、不妊症などの原因となることがあります。
早期発見・早期治療のために定期的な検査をおすすめしています。

 

性感染症の検査費用について保険適用の場合と保険が適用されない自費診療の場合の金額について、

検査は保険適用になるかどうか状況によって異なります。

ただ性感染症が不安で検査を受けたいという場合であれば、保険適用にならないため自費診療として全額自己負担になります。

一方で、診察を経て何か症状があると医師が判断して検査を行う場合、保険適用になります。
保険適用になれば3割が自己負担となり、残りの7割は保険で補われます。

各病院の治療方針によって保険適用の基準は異なる場合があるため不安な場合には検査を行う前に予め保険適用について確認することをおすすめします。

クラミジア感染症

【性器】
水様性のおりものが出ることがありますが、自覚症状が乏しく、知らないうちにパートナーに感染させてしまうことがあり、急増しています。放置すると、卵管炎・不妊症の原因になることがあります。

【咽頭(のど)】
のどの腫れや痛み、発熱や咳などの風邪に似た症状があります。放置すると、咽頭炎や扁桃腺炎を発症します。性器クラミジア感染者の10~20%は、咽頭クラミジアにも感染していると言われています。

◆治療方法
抗生剤を1回4錠服用し、2週間後に再検査を行います。

淋病

【性器】

黄色いおりものや、排尿時の痛みなどの症状が出ます。症状が軽いこともあり、感染に気付かず放置していると、子宮内膜炎を招き、強い下腹部痛や発熱を引き起こし、不妊症の原因にもなりえます。

【咽頭(のど)】

症状があまりないことが多いですが、のどの腫れや痛みなどの風邪に似た症状や、のどがイガイガしたりします。放置すると、咽頭炎や扁桃腺炎を発症します。性器淋菌感染者の10~30%は、咽頭淋菌にも感染していると言われています。

◆治療方法

抗菌剤の点滴を1回して治します。2週間後に再検査が必要です。

トリコモナス膣炎

性行為(SEX)以外でも、下着やタオルから感染することもあります。泡状で異臭の強い黄色いおりものの増加、膣やその周辺に強いかゆみや痛みを感じますが、症状がないかたもいます。悪化すると不妊症の原因になりえます。

◆治療方法
一般的に薬の服用と腟錠による局所療法の併用を行います。2週間後に再検査が必要です。

カンジダ膣炎

免疫力が落ちたときや生理前後、抗生剤服用などで発症し、再発を繰り返します。性病ではありませんが、膣・外陰部のかゆみ・ヒリヒリ感・白いヨーグルト状のおりものの増加、性交時痛などがあります。

◆治療方法

抗真菌薬の膣錠やクリーム剤で治療をします。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、ウィルス性(単純ヘルペス・ウィルス)の性行為感染症です。
感染後2日~7日間の潜伏期間のあとに、外性器に小さな水泡(水ぶくれ)ができ、それが破れると潰瘍が多発し、それが2週間ほど続いた後になくなります。初発は、潰瘍は左右対称にできるのが特徴で、局所にはっきりした病変が無い時でも性器からウィルスを排出してしまい、パートナーに感染する可能性があります。
ウイルスは神経節という体の奥に潜むため、治ったあとも免疫が低下したときに再発することがあります。ひどくなると、排尿時に激しい痛みを伴い、排尿が出来なくなることもあります。また、太腿の付け根のリンパ腺が腫れたり、高熱が出ることもあります。

◆治療方法
治療は抗ウィルス剤の内服で、1~2週間で治ります。

◆予防・予後
予防には性行為で感染するためコンドームを使用することが有効ですが、完全に防げるわけではありません。不特定多数や感染が疑われる相手との性行為を避けることも重要です。

梅毒

感染者と皮膚や粘膜で接触することで、細菌が侵入して感染していきます。梅毒に感染する経路の多くは性行為や、性行為に似た行為によるものです。また、梅毒に母体が感染していれば、胎児にも感染する可能性が高くなります。このことを先天梅毒と呼び、早産や死産、奇形といったリスクがあります。

第1期
梅毒は感染から3週間ほどの潜伏期間を経て症状が現れるようになり、最初の症状が現れる時期を第1期といいます。この時期には、梅毒トレポネーマが侵入した箇所に初期硬結と呼ばれる非常に小さなしこりが感染が起きた部位(陰部や唇付近、口の中、肛門付近)に現れます。これらの症状は数週間で自然に消滅していくので症状に気付きにくくなっていますが体内から菌が消えたわけではなく、この時期に性接触があると他人が感染する可能性があります。

第2期
感染して3か月から3年まで現れる症状を第2期といい、バラ疹と呼ばれるピンク色の発疹が手のひらや足の裏、顔など全身に現れるようになります。治療をしないまま3ヶ月以上放置すると梅毒が進行し、体内の梅毒トレポネーマの感染が全身に広がっていることを表しています。数週間で再び症状が消滅していきますが、治療しなければ体内には梅毒トレポネーマが潜伏ままの状態です。

第3期
感染から3年以降で症状が後期に入り、第3期と呼ばれる時期に入ります。ゴム腫と呼ばれる腫瘍で、皮膚だけではなく骨や筋肉、内臓にまで広がります。現在ではこの時期までに治療されることがほとんどですが、治療しなければ腫瘍が現れるようになります。

第4期
感染から10年以上経つと第4期といわれ、梅毒トレポネーマに全身の臓器や神経が侵され、神経障害や脳梗塞、心不全など命に関わるような状態になることもあります。1940年代以降にペニシリン系の抗生剤が普及するまでは治療薬がなく、多くの方が亡くなっていましたが現在では第3期や第4期の末期まで進行することはほぼなく、第2期までの比較的初期に診断および治療されています。

◆治療方法
梅毒にはペニシリン系などの抗菌薬が有効です。抗生物質の飲み薬であれば、毎日薬を服用する必要があります。抗生物質の筋肉注射も選択肢になります。

HIV感染症

HIVとは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のことで、ヒトの体をさまざまな細菌、カビやウイルスなどの病原体から守る(このことを”免疫”といいます)のに大変重要な細胞である、Tリンパ球やマクロファージ(CD4陽性細胞)などに感染するウイルスです。免疫に大切な細胞ウイルスに感染し体の中から徐々に減っていき、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症します。この病気の状態をエイズ(AIDS:Acquired Immuno-Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群)と言います。HIVの感染力は弱いので、性行為以外では日常の生活の中でうつる心配はありませんし、身のまわりにHIVに感染した人がいても心配する必要はありません。主な感染経路は①性的接触②血液感染③母子感染の3種類です。

◆治療方法
HIV感染症の治療は体内のHIVの増殖を抑える目的で3~4種類の抗HIV薬を組み合わせて内服する多剤併用療法がございます。最近では、2〜3種類の成分が1錠の中に含まれた合剤が多数でており、1日1回1錠内服での治療も可能です。食事と関係なく内服できる薬も多くなっており、副作用も軽くなっているので、以前よりは患者の負担も軽くなっています。さらに、ウイルスがすでに十分抑制されていることが条件ですが、1〜2か月に1回の筋肉注射の薬もございます。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマとは、性病の一種で、性器にイボのようなぶつぶつができる病気です。尖圭の読み方は、せんけいと読み、ぶつぶつの先が尖っている特徴があることから、病名に含まれています。梅毒の扁平コンジローマとは別の病気で、コンジローマ、コンジロームとも呼ばれることがあります。

尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが原因となる性感染症で、性器や肛門のまわり、足の付け根部分にイボができます。口に感染した場合は唇や口の中にできることもあります。また母子感染で新生児への感染もあり、赤ちゃんの咽にイボができると呼吸困難になり命に関わります。妊娠中の場合は、分娩までには治療することが必要です。

◆治療方法
①冷凍凝固法②軟膏による治療③手術療法(電気メス・炭酸ガスレーザーなど)があります。
液体窒素による冷凍凝固法は、液体窒素を浸した綿棒を患部に押し当てて数秒凍結させ、それを数回繰り返します。
軟膏による治療は、免疫を高めるため塗り薬(イミキモド)を使用し尖圭コンジローマの増殖を抑えます。
手術療法は目に見えるイボを直接切除、焼灼するのですぐに取れますが、ウイルスに直接働きかけるので再発の可能性が高いです。